建築家の
感性と意匠を実現
従来の自然木ではできなかった自由な加工を可能とした大断面構造用集成材・LVLは、強度・耐久性を始め、自然木と比べてあらゆる点が非常に優れており、長尺・変断面・湾曲した木材への加工を得意とするため、木造でありながらもデザイン性の高い建築空間を作り出すことを可能にしました。

■ 大断面構造用集成材
木材の欠点であった大節・割れ・腐れが除去、分散されるため、集成材の強度性能が大幅に増加し、他の木材製品に比べ性能が格段に向上しています。
また、長尺な木材・変断面な木材・湾曲した木材など従来の自然木ではできなかった形に自由に加工することができます。大空間の建物でも構造計算ができ、柱・間仕切りの配置を少なくしたり、内部の改装も容易で経済的です。
接合は、接合金物を使用するため単純化され、現場での施工が容易で、綺麗に仕上がります。重量は軽く、比重強度が強い大断面構造用集成材の建物は、鉄骨造・鉄筋コンクリート造と比べてもコストは高くなく、活用の場が広がっています。
■ LVL
LVLとは、構造用単板積層材(Laminated Veneer Lumber)のことで、ロータリーレースまたはスライサーなどにより切削した単板(Veneer)を主として、その繊維(木理)方向を互いに平行にして積層接着して作られる製品です。他の構造用集成材などのエンジニアリングウッドと比較して、大断面構造材が容易に製造でき、コストが安く強度のバラツキも少なく、木材強度の信頼性が高いという寸法安定性に優れた特徴を持っています。
【9つの優れた特徴】
【工場の集成材プレス機】
【本社全景】
各種構法・工法
建物の大きさや用途によって、適した建築方法があります。
社名となっているRH構法を始めとした、当社が誇る各種構法・工法をご紹介します。
RH構法
AKジョイント工法
金具工法
スリット工法
耐震フレーム工法
【鉄筋拘束接合による木質ラーメン構法】
RH構法(Reinforced Heavy-Timber Structure System 鉄筋拘束接合による木質ラーメン構法)は、柱・梁部材に杉集成材を使用し、柱・梁の接合部に穿孔して異形鉄筋を挿入したうえ、接着剤(エポキシ樹脂)を孔の空隙に充填、硬化させることによって、接合部を剛接合する木質ラーメン構造です。柱脚部では、杉集成材の柱に鉄筋を挿入し、無収縮モルタルでコンクリート基礎との剛接合を行います。これまでの木造建築の課題となっていた構造強度、耐火性、品質安定性などを大断面構造用木材を用いることで解決するとともに、接合部を剛接合することで、耐力壁や筋交いのないシンプルで自由な建築空間(2方向ラーメン構造)を創り出すことが可能になります。
【4つの特徴】
1.コストパフォーマンスの高さ
RH構法は、ジョイント部の構成が非常にシンプルなため、接合部にかかるコストは大幅に低下できます。ツーバイフォーと比べた場合、コストは若干高くなると想定しています。しかし、RH構法はツーバイフォーでは不可能である大きな空間とジョイントの耐力を利用したコンクリート製スラブ(厚さ150mm)を用いることが可能であり、コストアップを十分に補填する性能を持っていると言えます。また、RC造と比べた場合、自重が軽いため基礎工事費を軽減できます。基礎工事を含めた躯体工事で約35%のコストダウンが可能です。また、重機の使用が少なく工期も短縮できるといった点も、コスト低減に寄与できます。
2.プランの自由度とデザイン性
RH構法による木造建築はラーメン構造で耐力壁や筋交いを必要としないため、プランの自由度が高く、大きな開口部も自由に作ることができます。また接合部にボルトなどの金具が露出しないため、デザイン性の高い構法と言えます。
3.大空間構造
RH構法の大きな特徴の一つは、運送限界を超える梁を現場で継ぎ長大梁をつくり、大空間を創り出せる点にあります。これにより、ホール・体育館・プールといった大空間を必要とする用途への対応が可能となります。
4.断熱、防湿、遮音性能
木材はコンクリート、鉄、アルミなど、他の材料に比べ格段に熱伝導率が低く、このため高い断熱性能が得られます。また、木造はRC造、S造のように結露で悩まされる心配もありません。従来の木造建築において大きな問題とされてきた点が遮音性能です。木造床は重量衝撃音の防音に必要な床の重量がどうしても不足しやすく、この問題の解決が不可能とされていたのですが、RH構法ではジョイント部の耐力を高め、コンクリート製床スラブを用いることでこの問題の解決を図っています。床の遮音性能の確保は共同住宅においては不可欠の条件であり、この意味でRH構法は木造三階建共同住宅に用いる構法として、他の構法にない優れた特質を有していると言えます。
【構法手順】
①注脚には、あらかじめ鉄筋を挿入し接着剤で拘束しておく。
②柱に固定させた鉄筋を基礎スリープに差し込みグラウトモルタル(無収縮モルタル)を充填する。
③柱と梁のジョイントは建方に合わせて順に行う。
④柱と梁を仮組のあとに現場接着を行う。
【RH構法の技術を応用 地域材を活用できる工法を開発】
小径12cm角の木材に孔や溝をあけ、異形鉄筋を挿入したうえ、接着剤(エポキシ樹脂)を充填して硬化させることにより接合する方法です。ピン接合であるため、AKジョイントで躯体をつくる場合には、耐力壁や筋交いなどが必要となります。
■高強度
引き抜き力だけでなく、曲げの力にも抵抗できるため、倒れたり、曲がったりした柱・梁の耐震補強にも対応できます。
■意匠性
金物が露出しないため、内外層真壁にも対応できます。
■高耐久性
金具補強のような熱橋・冷橋がないため接合部の結露の心配がありません。
【特徴】
【常識を大きく超えた高い性能】
自社工場で製造する、歪み・くるいの少ない構造用大断面集成材と接合金具を組み合わせることで、大空間の建物にも対応することができます。特に構造精度では、今までの常識を大きく超えた高い性能を発揮します。
【アゴ掛け金物・ホゾパイプ・ボルト・ピンにより構成】
新しい基準法により、金具の位置付けが明確になり、品確法・性能表示により、一層のレベルアップと内容の明確性が必要となりました。スリット工法の基本性能は、実験・検証により立証されたものです。
【スリット工法破壊実験例(金物工法)】
【プレカット工法破壊実験例(在来工法)】
【4大要素】
1.強度
軸組工法の仕口継手部分を金物に置き換えた「スリット工法」は、必要でバランスの良い耐力を持ち、躯体をハイレベルで均一に緊結します。
2.コスト
シンプルな形状によるコストパフォーマンスの良さに、金属加工技術が付加され省コストを実現しました。
3.施工法
現場作業が簡単に早くできるので、熟練者を付ける必要がありません。工程・工期を検討し、多能工化・作業分担等による合理化が図れます。
4.木材の加工法
木材加工が簡単で熟練技術(墨付け等)を必要とせず、完全部材化(構造部材の部品化)も可能です。
【個人住宅向け 自由度の高い安心で安全な住宅】
RH構法を応用し、新たに鹿児島県と当社が共同で研究し実用化した耐震フレーム工法は、角柱材を縦、横、格子状に複数接合して組立てます。接合部は、穿設した穴に鉄筋とダボ材を通して、隙間に接着剤を充填して固めるため接続金具が不要で、地震や台風などによる繰り返しの揺れを受けても接合部が緩むことなくしっかりと保持でき、耐久性の向上が図れます。また、従来の筋交い補強に比べ高強度の壁補強効果が得られるため、新しい耐震基準にも応用できる強度の高い住宅づくりが可能です。
これほどの高い強度と耐久性を備える構造でありながらも、住宅ごとにサイズを変えることができるため、自由度の高い設計が可能です。耐震フレーム工法は、平成25年に特許を取得しました。
【耐震への裏付け(実験結果)】
特許出願時の実験結果では、筋交いを用いた耐力壁の2倍の強さ、周囲壁においては在来構法に比べ強度5倍という結果が証明されました。



【製造過程】

①断水率20%以下まで乾燥し、狂い、割れ、反りの防止を図る。

②木材を住宅に合わせ格子状に成型し鉄筋を差し込む。

③エポキシ樹脂を木材と鉄筋の隙間に注入し接着する。

④建物の柱・土台・梁材で囲まれた枠内に嵌め込んで固定する。